野村つみたて日本株投信に関心をお持ちですか?
この商品は野村證券の「つみたてNISA」などで選択できる低コストのインデックスファンドです。
「つみたてNISA」での資産形成は「MSCIコクサイインデックス」に連動する投資信託が選ばれる傾向にあります。
野村つみたて日本株投信は、脇を固める役に向いているかもしれません。
以下、乱数シミュレーションの結果とともに、野村つみたて日本株投信の特徴を紹介します。
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野村つみたて日本株投信とは
野村つみたて日本株投信は、日経225採用銘柄に投資し、日経平均株価をベンチマークとする商品です。
要するに、日経平均株価が上がれば儲かるし、下がれば損をします。
有名な投資信託との信託報酬比較
日経225銘柄に投資を行う商品は、2018年3月時点で15種類あり、下表は同時点での信託報酬とともにまとめたものです。
商品名 | 信託報酬 |
朝日ライフ 日経平均ファンド | 0.54% |
たわらノーロード 日経225 | 0.1836% |
しんきんノーロード日経225 | 0.4212% |
iFree 日経225インデックス | 0.1836% |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド | 0.18252% |
ニッセイ日経225インデックスファンド | 0.27% |
農林中金<パートナーズ>つみたてNISA日本株式 日経225 | 0.378% |
野村インデックスファンド・日経225 | 0.432% |
野村つみたて日本株投信 | 0.1836% |
i-SMT 日経225インデックス(ノーロード) | 0.1836% |
SMT 日経225インデックス・オープン | 0.3996% |
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | 0.17172% |
eMAXIS 日経225インデックス | 0.432% |
つみたて日本株式(日経平均) | 0.1944% |
Smart-i 日経225インデックス | 0.1836% |
信託報酬で見ると、野村つみたて日本株投信は0.1836%と、「eMAXIS slim 国内株式(日経平均)」に約0.01%劣ります。
ほぼ誤差みたいなものでですが、できるだけ低信託報酬を追及するならば、野村つみたて日本株投信は候補から外れます。
ベビーファンドとマザーファンドの純資産
記事執筆時点で、野村つみたて日本株投信の純資産は約1億円と、正直少ないです。
ただ、野村つみたて日本株投信のマザーファンドである「ミリオン・インデックスマザーファンド」は、2017年11月7日現在で約511億円と大きな資産を持っています。
「純資産が少ないから、投資はやめたほうが良い」は気にしなくて大丈夫そうです。
野村つみたて外国株投信と組み合わせると・・・?
野村つみたて日本株投信は、日本を除く先進国と新興国に投資できる「野村つみたて外国株投信」と組み合わせて運用すると、世界中の株式を投資対象にできます。
- 日本への投資:野村つみたて日本株投信
- 先進国と新興国への投資:野村つみたて外国株投信
例えば、野村證券のつみたてNISAでは、日本株投信と外国株投信の両方が用意されており、「全世界の株式に投資したいときは、この2つの投信を使ってね」というメッセージを感じます。
- 野村つみたて日本株投信:毎月1万円
- 野村つみたて外国株投信:毎月2万円
といった積み立ても1つの案ですね。
日本株は日経平均株価(日経225)とTOPIXのどちらを使えばよいか
分散性の高い指数はどちらか
野村つみたて日本株投信のようなインデックスファンドを使って日本株式に投資する場合、1つの悩みとして、
- 日経平均株価(日経225)に連動する投信を選ぶか
- TOPIXに連動する投信を選ぶか
があります。
両者は
- 日経225:日経平均株価を構成する225銘柄に投資
- TOPIX:東証株価指数を構成する2,000銘柄超
と投資対象銘柄数に差異があり、より分散性が高い指数はTOPIXです。
分散性の高さは、1社の株価に依存するリスクを低減できますので、TOPIXに投資する投信を選んだほうが、理屈上は低リスクな運用を期待できます。
過去のパフォーマンスはどうだったか
投資情報サイト「myINDEX」より、過去の日経平均株価(日経225)とTOPIXのパフォーマンスを紹介します。
実は20年という長い目でみると、より高いパフォーマンスを上げたのはTOPIXなんですよね。
参考までに、2008~2017年における日経平均株価とTOPIXの平均リターンと実質リターンを紹介します。
平均リターン | 実質リターン | |
日経平均株価 | 7.19% | 4.1% |
TOPIX | 7.09% | 4.3% |
- 平均リターン:毎年の利回りを機械的に平均化したもの
- 実質リターン:2008年に1万円投資し、2017年終了時点での運用益から利回りを算出したもの
この期間、機械的に算出する利回りは日経平均株価が高かったものの、実際に高い収益を上げたのはTOPIXでした。
あれ?野村つみたて日本株投信に投資するメリットが薄れてきた・・・?
「野村つみたて日本株投信」に毎月1万円投資すると20年後いくらに?
乱数シミュレーション(モンテカルロ法)にて、野村つみたて外国株投信の将来を予想しました。
計算には、myINDEXが提供する日経平均株価の過去20年間のリスク・リターンから、野村つみたて日本株投信の信託報酬(0.1836%)を引いた値を使っています。
- リターン:1.2164%(!)(1.4% – 0.2052%)
- リスク:19.3%
以下で述べる成績はあなたの将来の運用成績を約束するものではありません。
計算結果:20年後の推定成績
計算回数 | 1,000回 |
運用年数 | 20年 |
総投資金額 | 240万円 (1万円 × 12ヶ月 × 20年) |
最高評価額 | 1,817万円 (+1,577万円) |
最低評価額 | 38万円 (-202万円) |
平均評価額 | 269万円 (+29万円) |
元本割れ回数 | 532回 |
元本割れ確率 | 53.2% |
正直、今回の乱数シミュレーションは、インプットするデータ自体が非常に悪く、とても参考にできない結果です。
ご存知、過去20年間の日本の株価は低迷気味で、最近ようやくバブル期の半値戻しを達成したほどです。
日本は、将来の株価にも不透明感は残る、投資の難しい市場とも言えると思います。
過去の10年の実質リターンを利用すると
TOPIXとの比較で求めた実質リターン(4.1%)を利用すると、20年後の成績は200万円の投資に対して、369万円(149万円の利益)になります。
でも、市場の特徴を考えると、これは当てにならない計算ですね。
1年間で生じる「見込み最大損失額」
myINDEXのリスクとリターンを使って、野村つみたて日本株投信に投資した時に生じうる「見込み最大損失額」を算出しました。
これは、仮に1年間で「最悪の下落」を経験した際に、投資額のいくらを失うかを求めたものです。
過去のデータに基づく算出ですので、目安としてご覧ください。
野村つみたて日本株投信 | |
---|---|
リターン(%) | 1.2164 |
リスク(%) | 19.3 |
見込み最大損失額 (投資額の%) | 37 |
計算上、野村つみたて日本株投信は、1年間で投資額の37%の下落を経験する可能性があります。
「つみたてNISA」での考え方
上述の通り、野村つみたて日本株投信の商品性は悪くものの、日本市場の難しさは残ります。
そこで、以下のように考えてみてはいかがでしょうか。
現金・個別株を持っているなら、野村つみたて日本株投信は買わない
野村つみたて日本株投信は日本に投資する商品なので、あなたが現金(日本円)や株主優待株などを持っているなら、投資する必要はありません。
理由は簡単で、
- 現金(日本円)
- 株主優待株
- 野村つみたて日本株投信
では、投資先が全て日本に集中してしまうからです。
例えば、筆者は国内への投資は優待株に、海外への投資は投資信託に、と分けて運用しています。
つまり、普段積極的に国内資産への投資を行っていない人ほど、野村つみたて日本株投信への投資をオススメできると考えます。
野村つみたて日本株投信を買うなら、野村つみたて外国株投信なども一緒に
まったく資産運用していない状態で野村つみたて日本株投信を購入するなら、一緒に野村つみたて外国株投信なども買うことをオススメします。
- 日本への投資:野村つみたて日本株投信
- 先進国と新興国への投資:野村つみたて外国株投信
と、分散投資を実現するためですね。
ただ、野村つみたて外国株投信は少々ハイリスクなので、eMAXIS slim 先進国株式インデックスを選び、新興国を外すのも1つの手です。
まとめると
- 野村つみたて日本株投信の商品性は悪くない。信託報酬も最低水準(最低はeMAXIS slim 国内株式(日経平均))
- 日本は先の読みにくい難しい市場なので、日本円や優待株を保有しているなら、野村つみたて日本株投信は外してもいい
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まとめ
- 野村つみたて日本株投信は日経平均株価を構成する225銘柄に投資。信託報酬は低いが、最低はeMAXIS slim 国内株式(日経平均)に0.01%及ばない
- 乱数シミュレーションの結果は参考にならない。過去の日本市場は変動が大きい割にリターンが少なかったため
- 普段、株主優待銘柄などを購入していない場合に投資しよう。野村つみたて日本株投信を利用するときは、他の先進国株式などに投資する商品も一緒に
なお、購入はSBI証券、楽天証券、野村證券など12の金融機関で。