「たわらノーロード NYダウ」はダウ工業株価に連動する投資信託の1つ。つみたてNISAには対応しないのが難点ですが、特定口座で「超過利益を取る」目的での運用に適しています。非課税で運用したい場合にはiDeCo(個人型確定拠出年金)も利用できます。
この記事では「たわらノーロード NYダウ」の商品的な特徴やライバル商品との比較、将来予測などをまとめて解説。個人投資家はS&P500連動の投資信託(例えば、eMAXIS slim 米国株式(S&P500))を選びがちなので、ネット上の少ない情報を補うつもりで書いてみました。
2019年5月に「eMAXIS NYダウインデックス」がつみたてNISAに対応しました。ダウ連動のファンドをつみたてNISAで購入したい時は、そちらをお選びください。
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たわらノーロード NYダウとは
たわらノーロード NYダウ(協会コード:47319173)は、アセットマネジメントOneが運用する投資信託です。
たわらノーロードシリーズはアセットマネジメントOneの低コストインデックスファンドシリーズです。他の低コストインデックスファンドシリーズに比べ、銀行でも購入しやすいのと商品ラインナップの多さが魅力です。
信託報酬や純資産などの基本情報
出典:たわらノーロードNYダウ目論見書
情報は2019年4月10日現在(マザーファンドの純資産、実質コストは2018年10月12日現在)。
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 実質コスト | 0.243% 0.443% |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) | 無期限 (償還なし) |
基準価額 | アセマネOne公式 |
純資産(ベビー) 純資産(マザー) | 14億円 13億円 |
SBI証券ランキング つみたてNISA 設定件数 | 対象外 |
マザーファンド「NYダウ・インデックス・マザーファンド」は、たわらノーロードNYダウのマザーファンドとしてのみ運用されており、共有する他の投資信託はありません。他の一般的なインデックスファンドに比べると、マザーファンドの規模が小さいものの、NYダウは30銘柄買えば十分なので、問題なく運用できているように感じます。
なお、ファンドの特徴から、おそらく分配金は期待できません。
注意点:つみたてNISAは別の商品を選ぼう
たわらノーロードNYダウはつみたてNISAの対象外です。非課税を利用して投資するにはiDeCoを使うしかありません。後述もしますが、iDeCoを使ってこのファンドを買える証券会社はマネックス証券のみです。
類似商品との比較
NYダウに投資できるインデックスファンドで、かつ低コストに運用できる商品は少なめです。以下はたわらノーロードNYダウの主なライバルとなる商品と、その信託報酬・純資産の比較です。
- iFree NYダウ・インデックス
- SMTダウ・ジョーンズインデックス・オープン
- eMAXIS NYダウインデックス(slimではない)
商品名 | 信託報酬 | 純資産 | つみたてNISA |
---|---|---|---|
iFree NYダウ | 0.243 | 104億円 | × |
たわら NYダウ | 0.243 | 14億円 | × |
SMT ダウ | 0.54 | 80億円 | × |
eMAXIS NYダウ | 0.648 | 89億円 | ○ |
2019年4月現在で最も純資産が多いのは「iFree NYダウ・インデックス」です。信託報酬はたわらノーロードNYダウと同値で運用コストも優れています。たわらノーロードNYダウはファンドの規模が小さい(マザーファンドも小さい)ので、思い入れなどの理由が無ければiFree NYダウ・インデックスを選んだほうが良いです。
他のファンドは信託報酬が2倍かそれ以上高く設定されており、どうしても長期的にはパフォーマンスで劣ってくる可能性が高いです。たわらノーロードNYダウもiFree NYダウ・インデックスも売ってない、というようなケースを除けば、積極的に選ぶ理由が無いと思います。
なお、他のダウ連動の投資信託は以下の記事で紹介しています。いずれも一部の銀行で売っているものが多く、そもそも目にする機会が少ないかもしれません。
今後の将来予測
モンテカルロシミュレータによる将来予測
乱数シミュレーション(モンテカルロ法)を用いて、たわらノーロードNYダウに20年間、毎月1万円ずつ積み立てた場合の予想成績を紹介します。以下で述べる計算結果は、あなたの将来の運用成績を保証・約束するものではありません。
計算に用いる条件はmyINDEXのリスクとリターン値を使い、筆者作成のモンテカルロシミュレータ(アセロラ)を用いました。リターンからは信託報酬(0.243)分を引いて計算します。
- リターン:4.657%(4.9% – 0.243%)
- リスク:18.1%
- リターン:年利回りのこと
- リスク:リターンの標準偏差(1σ)のことで、リスクが大きいほどリターンの触れ幅も大きくなります
出典:筆者作成のアセロラにて算出。リターン:4.657% / リスク:18.1%
出典:筆者作成のアセロラにて算出。リターン:4.657% / リスク:18.1%
この計算によると、20年後の運用成績は240万円の投資に対し、中央値で347万円(幾何リターン:3.5%)、平均値で405万円と求まります。だいたい投資額の1.5倍ぐらいになれば良い感じ、といった結果ですね。
なお、最も運用成績が悪い結果は240万円の投資に対し、68万円(-172万円)の評価額でした。また、20年後の元本割れの確率は22.5%です。
1年間の最大見込み損失額
1年間の最大見込み損失額は、投資額の31.5%(= 4.66 – 18.1 * 2)です。参考までに2008年のリーマンショック時にはリスクオフの円高も相まって、1年間で-46.4%の下落となりました。
過去、1929年からの世界恐慌では、当時の米国株は約9割近い下落をしており、当時の投資家に大ダメージを与えています。結構値動きは大きいことは知っておいて欲しい商品です。
専門家による将来予測
JPモルガンAMが提供すると超長期マーケット予測2019によると、ダウ平均株価の構成銘柄も含まれる「米国大型株式」の今後10~15年程度の年次幾何リターンは3.5%程度と見積もられています。偶然か否か、ちょうどモンテカルロシミュレータの中央値とほぼ同等のリターンになりそうです。
J.P.モルガンの超長期マーケット予測 | JPモルガンアセットマネジメント
「思ったよりリターン低いな」って感じかもしれませんが、これには今までの米国株の運用成績が良かったために買われすぎた(つまり、割高になった)ことが考慮されてそうです。
たわらノーロードNYダウへの投資はおすすめか
iFree NYダウ・インデックス同様に、普段はつみたてNISAを利用できるS&P500関連のファンドを選ぶことをおすすめします(例えば、eMAXIS slim 米国株式(S&P500))。そちらのほうが非課税で運用できるし、途中で気軽に止められるからです。
同じNYダウ関連のファンドとして見た場合には、純資産の多い「iFree NYダウ・インデックス」のほうが安心感があります。あなたが利用する金融機関で両方扱っている場合には、iFree NYダウ・インデックスを優先的にお選びください。
購入できる金融機関
特定口座で購入する場合
たわらノーロードNYダウは、主にネット証券と一部の銀行で購入できます。
- SBI証券
- 岡三オンライン証券
- 松井証券
- マネックス証券
- 楽天証券
- 千葉興業銀行
- みずほ銀行
SBI証券や楽天証券を利用して購入すると、ポイントを貰えるためお得です。利回りを高めるためにもどちらかの証券会社を利用したいところですね。
iDeCoで購入する場合
iDeCoでたわらノーロードNYダウを購入する場合にはマネックス証券のiDeCoを利用してください。マネックス証券のiDeCo以外の取り扱いはありません。
なお、ライバル商品のiFree NYダウ・インデックスはSBI証券のiDeCoで購入できます。
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まとめ
- たわらノーロードNYダウはアメリカのダウ工業株価に連動する投資信託。つみたてNISAは非対応なので、非課税で購入したければ一般NISAかiDeCoを使おう
- ライバル商品はiFree NYダウ・インデックス。信託報酬が同等で、総コストはたわらノーロードNYダウよりも低く抑えられている
- ダウ工業株価は比較的値動きの大きい指数の1つ。日本の場合、経済不安は円高になりやすいので、株安 + 円高で二重に損をしやすい点は知っておこう
個人的には、つみたてNISAに対応したS&P500関連のファンド(例えば、eMAXIS slim 米国株式(S&P500))のほうをオススメします。同じ米国株ですが、S&P500は500銘柄に分散されているため、理屈上はダウ工業株価に連動する投資信託よりも値動きが緩やかになるからです。