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セゾン投信の長期投資シミュレーション(セゾン号の道しるべ)を鵜呑みにしないように

投稿日:2019年11月1日 更新日:

セゾン投信では、2019年11月1日から長期投資のシミュレータ(セゾン号の道しるべ)を提供開始しました。

長期投資シミュレーション~セゾン号の道しるべ~ | セゾン投信

早速筆者も使ってみたのですが、このシミュレータの結果を参考にすると「新興国株式を買っておけば老後安泰」みたいな結果になってしまうので、「いやいや、それは違うだろう」ってことで記事にしたいと思ったのです。

セゾンの投信を買うメリットすらないw

定期的に書く話ですが、価格変動(リスク)を考慮しないシミュレーションは常に理想的で、現実よりも話が上手く行き過ぎる結果がでます。

それを鵜呑みにして、まったく同じように運用しようとすると、ほぼ確実に失敗しますので、その注意喚起のつもりで、何が問題かを解説します。

以下、セゾン号の道しるべの資産の取り崩しシミュレーション(2019年11月1日時点の機能)を例に紹介します。

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問題点:資産はシミュレーションよりも早く枯渇するだろう

簡単な機能の紹介

実際の使い勝手は試していただくとして、ここでは老後取り崩しシミュレーションをスクリーンショットで紹介します。

長期投資シミュレーション~セゾン号の道しるべ~ | セゾン投信

長期投資シミュレーション~セゾン号の道しるべ~

資産取り崩しシミュレーション(セゾン号の道しるべ)(出典:https://saison-am-lifeplan.milize.com/asset)

ご覧のように、入力できるのは

  • 年齢
  • 金融資産
  • 取り崩し額
  • 想定利回り

の4つです。

例えば標準状態の設定でシミュレーションを行なうと以下のような結果を得られます。

★標準状態の設定

  • 年齢:60歳
  • 金融資産:3000万円
  • 取り崩し額:毎月10万円
  • 想定利回り:3%

長期投資シミュレーション~セゾン号の道しるべ~

資産取り崩しシミュレーション(セゾン号の道しるべ)(出典:https://saison-am-lifeplan.milize.com/asset)

この結果は、本来運用せずに毎月10万円を取り崩すと、60歳から25年後の85歳で資産が枯渇しますが、資産を利回り3%で運用しつつ取り崩すと、なんと105歳まで資産が長持ちしますよ、ということを示します。

資産運用すれば「人生100年時代」にも十分耐えられるというのです。

この結果だけ見たら、老後は資産運用しましょうって気になりますよね。

実際にはもっと短期間に資産は枯渇するだろう

場合によっては運用しないほうが長持ちする

しかし、投資にはリスク(価格変動)があるため、このシミュレーションどおりに都合良く取り崩すことはできません

以下は利回り3%ですが、11%のリスク(価格変動)を想定して10,000回の取り崩しシミュレーションを行なったものです。

やはり毎月10万円(1年間で120万円)の取り崩しを仮定しています。

利回り3%、リスク11%で毎月10万円ずつ取り崩し

3000万円を運用し始めてマイナスの評価額(= 資産枯渇)になるまでの年数(出典:筆者作成)

利回り3%、リスク11%で毎月10万円ずつ取り崩し

3000万円を取り崩しながら運用したときの20年後の評価額の分布。赤いバーは資産枯渇(出典:筆者作成)

筆者の計算結果によると、60歳から運用を始めて20年後(80歳時点)で約4%のデータは3000万円を全て失います

なんと運用をせずに毎月10万円を取り崩すよりも早く資産がなくなってしまったのです。

同様に、3,000万円が枯渇するピークは約30年後(90歳時点)で、セゾン投信のシミュレーションで得られた105歳まで資産が持たない可能性があるのです。

金融危機を経験すると、資産は早く枯渇しやすい

重要な点として、資産の増加スピードは運用する資産の残高に大きく影響されます。

例えば運用開始後から数年後に金融危機のような大きく資産を減らすイベントがあった際に、定額取り崩しでは資産の回復を待たずに毎月出金してしまうため、その後の株価上昇時に資産の戻りが少なくなってしまうのが原因です。

老後、相場に恵まれれば資産は長持ちし、相場に恵まれなければ資産は早く枯渇する、というわけですね。

新興国株式は資産が減らないことに・・・

ちなみに、より価格変動の大きい新興国株式でシミュレーションすると20年で資産が枯渇する確率はさらに高くなります。

しかし、セゾン投信のシミュレータでは60年経っても資産が減らないことになってしまい、これでは「新興国株式に投資しておけばオッケー」という極めて危険な結果になってしまいます。

いくら筆者が新興国株好きといっても、そんな怖いことはできません・・・w

長期投資シミュレーション~セゾン号の道しるべ~

資産取り崩しシミュレーション(セゾン号の道しるべ)(出典:https://saison-am-lifeplan.milize.com/asset)

FPらのライフプランシミュレーションでも注意が必要

この手のシミュレーションはFPらのライフプラン作りでもよく利用されています。

「6つの係数」というものがあり、それを使えば簡単な運用シミュレーションを計算できるからです。

しかし、これまで述べたとおりに、価格変動を考慮しない運用利回りを想定するのは危険です。

上述のように、金融商品の価格変動を考慮しない運用プランは極めて理想的な結果になってしまうからです。

老後は「定額取り崩し」よりも「定口取り崩し」がいい

定口取り崩しなら、目標年数まで確実に資産を確保できる

ここまで述べたように、定額取り崩しは金融危機などの影響で資産残高が変わってしまい、予定の年数まで持たないデメリットがあります。

そのため、例えば60歳から90歳までと、ある決まった年数まで確実に資産を持たせたい場合には、「定口取り崩し」のほうが向いています

あまり口数を意識することはないかもしれませんが、ご覧のように購入した投資信託は全て「保有口数」が示されています。

投資信託の保有口数

筆者SBI証券口座

定口取り崩しとは、この口数を利用して、毎月の取り崩し額を決める方法です。

例えば、投資信託の保有口数が300万口あるならば、これを取り崩したい期間(例えば300ヶ月)で割ることで1ヶ月あたり1万口ずつ売却するのです。

1ヶ月ごとの得られる金額は投資信託の評価額次第ですが、早期に資産が枯渇する可能性はなくなります。

投資信託の取り崩し方法
定額取り崩し 定口取り崩し
特徴 毎月一定額を取り崩しす 毎月一定口数を取り崩す
メリット 毎月の入金額が同じ 一定期間確実に資産を保有できる
デメリット 資産枯渇までの月数は相場次第 毎月の入金額が異なる

他にも、定率取り崩しという考え方もあり、これは定額と定口の中間的な結果になります。

資産を定率で取崩すことには どんなメリットがあるの? | 三井住友DSアセットマネジメント(pdf)

「全額使い切って死ぬ」のは結構難しい

この手の計算は、「自分が何歳まで生きるか」を仮定しなければいけないので、ちょっと難しいところでもありますね。

現実的にはちょっと長生きすることを想定しておき、それより早く死んだら子供に相続するのが妥当でしょうか。

筆者のように独身だと相続とは無縁でしょうが・・・死んだ後のお金のことまで悩む必要はないと思いますw

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まとめ

  • セゾン投信の長期投資シミュレーション(セゾン号の道しるべ)を使えば、積み立てシミュレーションと取り崩しシミュレーションを利用できる
  • 価格変動を想定していないため、得られる結果は極めて理想的なものになる。現実はシミュレーション結果よりも悪い可能性が高い
  • 老後取り崩しは定額よりも定口のほうが安心できる。定額は相場が悪いと予想よりも早く資産がなくなってしまう

余談:投信を取り崩して生きるのか、高配当ETFなどに乗り換えるのか

資産が減っていくのを見るのが結構辛いって方っていらっしゃると思うんです。

そういう場合には、あるタイミングで高配当株式や高配当ETFに乗り換えたほうが老後は安心かもしれません。

税金など含め、どちらが良いかは今後考えてみたいですね。

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