今回は配当成長株ファンドである「EUDG」について調べてみます。EUDGは米ウィズダムツリーのETFで、欧州の大型株のうち、成長性のある配当金支払い銘柄300社から成る指数(WisdomTree Europe Quality Dividend Growth Index)に連動するように投資します。
WisdomTree Europe Quality Dividend Growth Fund | WisdomTree
日本から欧州株に投資しようとすると、米国株式に比べて選択できる商品が限られます。そんな中でEUDGは貴重な欧州株連動のETFで、しかもクオリティを根拠により高いパフォーマンスを期待できる銘柄だけを選定しているのが魅力です。
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EUDGはどんな商品なの?
改めて、EUDGは米ウィズダムツリーのETFで、欧州の大型株のうち、成長性のある配当金支払い銘柄300社から構成される指数(WisdomTree Europe Quality Dividend Growth Index)に連動するように投資します。
EUDGは銘柄の選別を配当のほか、クオリティ(株主資本利益率(ROE)と総資産利益率(ROA))の過去3年平均でチェックしており、選択をクリアした銘柄300社の構成比率を配当加重方式にて決定します。つまり、「企業がどれだけ効率的に利益を生み出せか」という基準で投資する銘柄を選別し、企業が年間に支払った配当金総額を基準に、どの企業にどの比率で投資するかを決めるのです。
EUDGはいわゆるスマートベータETFの1つで、銘柄のクオリティを根拠にしたファクター投資(またはファンダメンタルインデックス投資)を実現できるものです。
EUDGの構成銘柄とセクター別比率はこちら(2020年6月末時点)。
EUDGの上位構成銘柄にはロシュやブリティッシュアメリカンタバコなど、欧州の有名な株式が並びます。米国株なんかに比べると、「名前は知ってるけど、詳しい業務内容はわからない」銘柄が多いかもしれませんね。
上位構成セクターはConsumer staples(生活必需品)やヘルスケア、Industrials(資本財)などです。一般に生活必需品やヘルスケアはディフェンシブ、資本財は景気敏感なセクターです。欧州は巨大な情報技術関連企業が少ないこともあって、近年の株高をけん引した情報技術は8%台と低めになっています。
その他、EUDGの一般的な特徴は以下の通り。
ティッカー | EUDG |
---|---|
投資先 | 欧州の大型株のうち条件を満たす300社 |
ベンチマーク | Europe Quality Dividend Growth Index (欧州株クオリティ配当成長インデックス) |
価格 | 49.50ドル |
取引単位 | 1口 |
購入手数料 | 証券会社に依存 |
経費率 | 0.58% |
純資産 | 約27億円 (26.8ミリオンドル) |
分配頻度 | 四半期(3/6/9/12) |
分配金利回り | 1.8% |
運用会社 | WisdomTree |
人によっては経費率が高いと感じるかもしれませんね。参考までにバンガードのVGK(ヨーロッパ株式に投資するETF)は0.08%です。
分配金(配当)について
EUDGの分配金利回りは、記事執筆時点で1.8%と高からず低からずといったところです。
実はEUDGの利回りは他のヨーロッパ株式に投資するETFよりも低めだったりします。以下は、EUDGと分配金を、VGKとIEV(iシェアーズヨーロッパETF)と比較したものです。
これを見ると、配当金目的でEUDGに投資するのは一見正しくないように見えるかもしれません。しかし、あくまでEUDGのコンセプトは、株価の上昇と将来の増配を期待できるクオリティ銘柄への投資ですので、そのあたりの割り切りは必要だと思います。
パフォーマンス
以下はEUDGの株価推移をグラフ化したもので、受け取った分配金をそのまま再投資したものとして表示しています。
このグラフによると、EUDGは他の2つのETFより高いパフォーマンスを出しています。先ほどの分配金のケースと組み合わせて考えると、EUDGは一般的なヨーロッパ株式連動のETFよりも「高成長 + 低配当」な銘柄をうまく抽出できているように感じます。
なお、2020年9月現在で、EUDGのパフォーマンスは米S&P500には及びません。そのため、EUDGへの投資は「カントリーリスクの分散目的を根拠にしたとき + 配当の受け取りを希望した時」に選ぶことになると思います。
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まとめ
- EUDGは欧州の大型株を対象に、配当の成長を期待できる銘柄を選別して投資するETF
- EUDGの配当金利回りは一般的な欧州株ETFよりも低い。しかし、それらより再投資後の成績は優れており、高成長銘柄をうまく抽出できてそうである
- 米S&P500指数のパフォーマンスには負けているので、カントリーリスクの分散を考えた時の選択肢として
これを見ると、欧州市場ではうまく銘柄を選び、配当再投資戦略を実行することで欧州市場の指数越えをできそうな感じがします。EUDGは、そのような「シーゲル教授の配当再投資戦略」に近いことを実現できるETFに思えます。
日本の投信として、フィデリティ欧州株ファンドとのパフォーマンスの違いが気になるところですので、これはまた別の記事で紹介しましょう。
欧州株系の主な商品は以下の記事でもまとめています。