GDP比率を考慮したアセットアロケーションに価値はあるか。というお話

3. 商品選択と組み合わせ




最近「全世界のGDP比率を考慮した投資信託」の話題をちらほら聞くので、GDP比率のアセットアロケーションについて考えてみたというお話。具体的には以下の商品がGDP比率で配分が決まるものです。

★GDP比でアセットアロケーションが組まれた投資信託

GDP比率を重視した商品は、新興国株式(や新興国債券)の比率が高められています。しかし、高い経済成長率が高い株式のリターンを導くとは限らないため、これらの商品を選ぶためには経済成長率以外で新興国を重視する根拠が求められます。

では、一緒に見ていきましょう!

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最近ちらほら見る「GDP比率」のインデックスファンド

GDP比率のインデックスファンドと言えば、長らく世界経済インデックスファンドが有名でしたが、最近「グローバル株式ファンド(The GDP)」や「<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)※新設 」などが登場しています。

★GDP比でアセットアロケーションが組まれた投資信託

以下は「グローバル株式ファンド(The GDP)」のアセットアロケーションで、一般的な全世界株式のアセットアロケーションよりも新興国株式の比率を多くとっているのが特徴です(時価総額の全世界株式における新興国株式は10%程度)。

The GDPのアセットアロケーション

出典:https://www.soam.co.jp/file/100010100010/100010_moku_k.pdf

このGDP比を採用するロジックとしては、「時価総額比率の配分は効率的ではないので、GDP比に応じて配分を見直した」といったところになるかと思います。つまりは新興国株式が過小評価されているので、GDP比に応じて増やした、という扱いです。

様々な市場インデックスの位置付け

出典:https://www.nikkoam.com/files/pages/institutional/pdf/investment_insight_series/investment_insight_series_201308_02.pdf

GDP比のアセットアロケーションに分はあるか

上述のとおり、GDP比のアセットアロケーションを採用した時には、一般的な配分よりも新興国株式を重視することが普通です。そこで新興国株式比率を高めることに価値があるか、を考えてみましょう。

新興国株式はなんとなく「高成長だから儲かる」といったイメージがありますが、実際には違います

以下はMSCIの資料で1958年からのGDP成長率と株価の収益の年間平均をそれぞれプロットしたもので、株価リターンが高い国はGDP成長率が低くなる「逆の」相関関係があることが示されています。

Is There a Link Between GDP Growth and Equity Returns? | MSCI Barra(pdf)

出典:https://www.msci.com/documents/10199/a134c5d5-dca0-420d-875d-06adb948f578

また、以前にも以下のようなグラフを記事で紹介したことがありました。以下は横記事にGDP成長率、縦軸に翌年の株式市場のリターンをプロットしたもので、やはり逆相関の関係がみられます。

出典:https://loringward.com/blog/can-gdp-growth-rate-predict-stock-market-return/

つまり、歴史的に高い経済成長率に期待しても、その成長率の対価を株式のリターンとして受け取ることはできませんでした

成長率と株式のリターンが結びつかない理由として、先のMSCIの資料では以下のようなまとめが掲載されています。

★GDP成長率と株式のリターンが結びつかないわけ

  1. 現在の世界はローカル市場よりもグローバルな市場のほうが大切
  2. 経済成長の大部分は新規企業によるもので、株主に届かない
  3. 期待される経済成長がすでに株価に組み込まれている

つまり、新興国株式の高い成長率に期待して、新興国株式比率を高めた配分を作ることはおそらく正しくないと言えそうです。

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「高い経済成長率」以外の理由を探さないといけない

ここまで述べたように、高い経済成長率は高い株価のパフォーマンスには結びつかないことが多いです。それでもGDP比のアセットアロケーションを採用するならば、高い経済成長率以外に新興国株式を重視する理由が必要です。

筆者自身は新興国株式も含めたアセットアロケーションを作っていますし、投資しておくことで将来なんらかのメリットの可能性があるとも思っています。

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ですが、現時点では新興国株式を時価総額比率よりも高い比率でアセットアロケーションに組み入れる理由は見つけられてない、というのが本音です。

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