結論から述べると、「iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)」は地味な存在ながら、意外と良い運用成績と地方銀行でも購入できる優れた商品です。ネット証券を利用するならばeMAXIS slim 先進国株式インデックスなどを選ぶでしょうが、それを購入できない金融機関なら選んで良いと思います。
このファンドに限りませんが、先進国株式に投資する商品は株安と円高の同時発生で大きな値下げを経験する可能性があります。そのような価格の変動を怖いと思うなら、iFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)を選ぶのも1つの手です。
では、「iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)」の特徴についてみていきましょう。ヘッジありは以下の記事をご覧ください。
ちなみに先進国株式ファンドの比較は以下の記事にて紹介しています。
[スポンサーリンク]
「iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)」とは
iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)(協会コード:0431P169)は、大和証券投資信託委託が運用する、つみたてNISA対応の投資信託です。
iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし) | 大和証券投資信託委託
同社の低コストインデックスファンドシリーズ「iFree」シリーズの商品で、「先進国株式」に投資する商品です。
信託報酬や純資産などの基本情報
出典:iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)の目論見書より
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 実質コスト |
0.209% 0.272% |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) |
無期限 (償還なし) |
基準価額 | 大和投信公式 |
純資産(ベビー) 純資産(マザー) |
30億円 1,087億円 |
SBI証券ランキング つみたてNISA 設定件数 |
ランク外 (2019年3月) |
過去、iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)は分配金は出しておらず、おそらく今後も分配金は出さないはずです。
信託報酬ランキング(2019年11月)
43位
SBI証券で2019年11月6日時点で取り扱う153本のつみたてNISA対象投信との比較。
実質コストは「0.272%」。あれ?安くない?
2019年2月4日付けの運用報告書(全体版)によると、iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)の実質コストは0.272%でした。このコストはeMAXIS slim 先進国株式インデックスの2018年の実質コスト(0.276%)よりも若干安くなっています。
後述しますが、iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)は信託報酬の割にはニッセイ外国株式インデックスファンドに匹敵するパフォーマンスが出ています。このファンドはコスト管理がうまいのかもしれません。
マザーファンドは1000億円超の巨大ファンド
マザーファンド「外国株式インデックスマザーファンド」は、同社の様々な外国株式ファンドと共有しています。規模が大きいので、ベビーファンドであるiFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)の純資産の規模は気にしなくても大丈夫だと思います。
日本を除く先進国(主にアメリカ)に投資できる商品
iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)は日本を除く先進国に投資できる投資信託です。「MSCI コクサイインデックス」に連動しており、アメリカ株式、EUと環太平洋の国(日本を除く)の株式で運用されます。先進国株式の内訳は、約68%をアメリカが占め、残りはユーロ圏やカナダなどの株式です。
出典:https://www.daiwa-am.co.jp/funds/doc_open/fund_doc_open.php?code=3311&type=6&preview=on
投資先の国を着色した地図にするとこんな感じで、日本は含まれません。
先進国株式(日本のぞく)の投資範囲。地図はピザロより
このファンドは外国リート(不動産投資信託)と先物にもわずかに投資していますね。詳しい記述はありませんが、おそらくリスクヘッジの可能性があると思います。
綺麗で見やすい「交付目論見書」
投資信託の交付目論見書は小難しい単語が並んで意味不明なことも多いのですが、iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)の交付目論見書はかなり初心者向きに作られています。
iFree外国株式インデックスの目論見書が結構初心者向きに書かれてた。ここまで初心者意識した目論見書は初めて見た。いいね! pic.twitter.com/vazJRGZxpL
— みらい@招財進寶 (@instockexnet) 2019年4月11日
将来予測
乱数シミュレーション(モンテカルロ法)を用いて、iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)に20年間、毎月1万円ずつ積み立てた場合の予想成績を紹介します。以下で述べる計算結果は、あなたの将来の運用成績を保証・約束するものではありません。
乱数シミュレータによる将来予測
ベンチマークであるMSCIコクサイインデックス(円)の過去20年間のデータを使います。myINDEXのリスクとリターン値を使い、筆者作成のモンテカルロシミュレータ(アセロラ)を用いました。リターンからは信託報酬(0.2052)分を引いて計算します。
- リターン:5.1948%(5.4% – 0.2052%)
- リスク:18.7%
- リターン:年利回りのこと
- リスク:リターンの標準偏差(1σ)のことで、リスクが大きいほど、リターンの触れ幅も大きくなります
出典:筆者作成のアセロラにて算出。リターン:5.1948% / リスク:18.7%
出典:筆者作成のアセロラにて算出。リターン:5.1948% / リスク:18.7%
この計算によると、20年後の運用成績は240万円の投資に対し、中央値で371.7万円(幾何リターン:4.1%)、平均値で430万円と求まります。最も運用成績が悪い結果は240万円の投資に対し、86万円(-154万円)の評価額でした。また、20年後の元本割れの確率は19.9%です。
専門家によるMSCIコクサイインデックスの見通し
JPモルガンAMの超長期マーケット予測2019によると、iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)と同じカテゴリである「日本を除く先進国株式(為替ヘッジなし)」の今後10~15年程度の年リターンは約4%と見積もられています。ちょうどシミュレータの中央値と同程度の利益を得る利回りです。
J.P.モルガンの超長期マーケット予測 | JPモルガンアセットマネジメント
株安 + 円高(為替)のコンボに注意
iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)に投資した時に生じうる「見込み最大損失額」は投資額の32%(= 5.28 – 18.7 * 2)です。リーマンショック(2008年)では、MSCI コクサイインデックスは52%の下落を経験しました。このファンドに限りませんが、日本は株安時に為替が円高になりやすいため、先進国株式に投資する投資信託は「株安 + 円高」の同時発生で大幅な下落を経験する可能性があります。
もし、損失を抑えて運用したいならば、iFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)を選んでください。為替ヘッジを行なうことで円高に伴う下げをある程度軽減できます(その代わり、円安時の利益を捨てることにもなります)。以下は同じ先進国株式に投資する商品の為替ヘッジの有無を比較したものです。ヘッジありのほうはリターンが減っていますが、リスクもまた減らせています。
出典:投信アシスト
iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)はどこで購入できる?
購入できる金融機関(2019年4月時点)
多すぎて書ききれませんので、公式サイトをご覧ください。
iFree 外国株式インデックスファンド販売金融機関 | 大和投信
主なところでは、SBI証券や楽天証券のようなネット証券、イオン銀行、大和証券、そしてローカルな地方銀行などです。
筆者地元の青森県だと、みちのく銀行で扱ってるのが嬉しいですね。
2019年なら楽天証券が良いと思う
インデックスファンドはSBI証券か楽天証券で買うのが鉄板ですが、最近は楽天スーパーポイント関連のサービスが多い楽天証券のほうがお得な状況にあります。
★楽天証券でiFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)を買うメリット
- 楽天スーパーポイントとの連携サービス(ポイントでiFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)を買える)
- 楽天カードを利用した投信積立サービス(楽天スーパーポイント1%還元)
- スマホからの購入対応
SBI証券の場合、ポイントサービスの利便性で遅れを取っていますが、その代わりつみたてNISA関連のキャンペーンが多いといった特徴があります。キャンペーンを使ってお得に運用を始めたいなら、SBI証券もオススメです。
[スポンサーリンク]
まとめ
- iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)は日本を除く先進国株式(主にアメリカ)に投資する商品。MSCIコクサイインデックスに連動
- 信託報酬は最安ではないが、運用成績はニッセイ外国株式インデックスファンドに匹敵。コストがかかりにくいらしい
- 地方銀行でも購入できる。ネット証券利用者以外でも選びやすいのが良いところ
iFreeシリーズはあまり話題にならないものの、なかなか堅実なインデックスファンドシリーズだと思います。痒いところに手が届く商品が多いのと、地方銀行でも買いやすい点が素敵です。あなたがネット証券以外を利用するならぜひ知ってほしいファンドの1つだと思います。
ちなみに先進国株式ファンドの比較は以下の記事にて紹介しています。
また、米国株に投資できる商品は以下の記事をご覧ください。