つみたてNISA対象の新興国株式インデックスファンドを比較してみた、というお話です。もし「新興国株式に投資したいけど、よい投資信託がどれかわからない」と考えていましたら、この記事がお役に立つと嬉しいです。
結論から述べると、迷ったら「eMAXIS slim 新興国株式インデックス」が良いです。この商品は低コストな点に加えて、ベンチマークのトラッキングも優れています。
もう少し考え方を変えて、「eMAXIS slim 全世界株式(オールカントリー)」など、全世界株式のインデックスファンドを保有して新興国株式にも投資する手もあります(こちらのほうが初心者向きのやり方です)。
最近の相場的には、中国政府のテック企業締め付けの影響で、新興国株式のパフォーマンスは劣化していますね。個人的には、米国の金融緩和で新興国株式に良い時代が来ると思ってたので、この展開にはびっくりするばかりですww
悲しい。。
では、一緒にみていきましょう!
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今回比較した商品
2018年1月時点で既に運用されていた、つみたてNISA対象の11本の投資信託の運用成績を利用しました。比較期間は2018年1月~2021年8月15日までです。
★今回比較した商品
- eMAXIS slim 新興国株式インデックス
- SBI・新興国株式インデックス・ファンド
- eMAXIS 新興国株式インデックス
- ニッセイ新興国株式インデックスファンド
- たわらノーロード新興国株式
- SMT 新興国株式インデックス・オープン
- iFree 新興国株式インデックス
- 野村インデックスファンド・新興国株式
- 三井住友・DC新興国株式インデックスファンド
- つみたて新興国株式
- Smart-i 新興国株式
計11本※i-SMT新興国株式インデックスと楽天・新興国株式インデックス・ファンドは除外
ちなみに、商品にもよりますが、新興国株式の約75%が中国・台湾・韓国・インドの株式で占められています。中国・台湾・韓国でほぼ7割なので、日本を除く東アジアの工業国に投資する商品ですね。
このあたりの詳細は以下の記事を見てください。
さっそく比較してみた
以下は2018年初頭を基準に、現在までの運用成績を重ねたものです。インデックスファンドなので、基本的にはだいたい同じ成績になりますね。
少し外れているデータ(藍色の線)がありますが、これはiFree 新興国株式インデックスです。この商品はベンチマークが異なるため、他の一般的な新興国株式インデックスとは結構成績が異なっています。
次は、1年間保有した時のリターンと信託報酬の関係をグラフにしたものです。
ここでは、2018年1月~2021年8月までのどこかで新興国株式インデックスを1年間保有した時のパフォーマンスを集め、そこから中央値を求めたものを縦軸にしています。横軸は信託報酬です。
例外もありますが、基本的には信託報酬が低いほど保有期間リターンが高いとの関係があります。その際たる商品がeMAXIS slim 新興国株式インデックスです。
ちなみに、この資産クラスでもっとも信託報酬の低い商品はSBI・新興国株式インデックス・ファンドです。ですが、保有期間リターンはeMAXIS slim 新興国株式インデックスよりも少し低めになっています。この理由はSBI・新興国株式インデックス・ファンドもまた、他と異なるベンチマークを有しているためです。
期間中、明確にパフォーマンスが劣ったのはiFree 新興国株式インデックスでした(理由は後述します)。将来も同じとは限りませんが、心境的にはどうしても選びにくさを感じますね。
最後に、保有期間リターン(縦軸)と毎日の基準価額のぶれ幅(標準偏差)(横軸)のグラフです。iFreeとSBI以外の商品は同じベンチマークを採用しているので、本当は基準価額のぶれ幅がほぼ同じになるはずです。ですが、実際には異なるということを示しています。
この中で気になるのは三井住友・DC新興国株式インデックスファンドです。この商品は資産における先物の比率が大きく、トラッキングエラーが大きい可能性があります。
各商品を選ぶ際の判断ポイント
というわけで、ここまでのデータを参考に、新興国株式インデックスを選ぶときの判断チャートを作ってみました。
冒頭で述べたように、迷ったら「eMAXIS slim 新興国株式インデックス」が良いと思います。信託報酬を考えると、SBIの雪だるまも候補になりますが、オルカンと楽天VTのような関係なので、ちょっと悩むところですね(SBI雪だるまのほうが良い広範囲に分散投資されています)。
iFree 新興国株式インデックスのパフォーマンスに差がついた理由
iFree 新興国株式インデックスは「FTSE RAFI エマージング インデックス」というベンチマークが採用されています。このベンチマークは割安で財務的に優れた企業を抽出する「ファンダメンタルインデックス」と呼ばれる手法が使われていて、いわゆるスマートベータの一種です。
この指数は、傾向的にアジアの工業国の比率を抑え、ブラジルやロシアなどの資源国の比率を少し多めに保有するようです。しかし、それらの資源国はコロナの感染拡大もあって、2020年3月以降の株価は優れませんでした。
というわけで、長期的にはiFree 新興国株式インデックスの回復の可能性もあるでしょうが、ここまでのデータとしては、他の新興国株式ファンドに劣る形になりました。
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まとめ
- つみたてNISA対象の新興国株式ファンドの運用成績と信託報酬を比較
- 迷ったら、「eMAXIS slim 新興国株式インデックス」が良い。低コストで、ベンチマークのトラッキング性能の高い
- iFree 新興国株式インデックスとSBI・新興国株式インデックス・ファンドはベンチマークが異なるので、他のファンドと成績がやや異なる。割安性や分散性を考慮する時に選びたい
と、こんな感じでした。
今回、高パフォーマンスだったeMAXIS slim 新興国株式インデックスの詳細は以下の記事にて解説していますので、併せてご覧ください。
冒頭でも述べたように、つみたてNISAで全世界株式を買い、その比率に応じて新興国株式を保有するのも一案だと思います。その時は、楽天・全世界株式インデックス・ファンドやeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)などが候補になりますね。
なお、わたしは新興国株式をiDeCoで気にせず買いまくってるようですw