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つみたてNISAで新興国への投資は必要なのか?

投稿日:2018年3月16日 更新日:

つみたてNISAで新興国への投資は必要なのか?

これは筆者も疑問に思ってたところなので、一緒に考えてみたい話題です。

  • 経済成長すれば株価も上がるでしょ?
  • 人口増えれば株価も上がるでしょ?

新興国ってそんなイメージですよね。

しかし、その漠然としたイメージは正しいのか否か、を以下で紹介します。

「つみたてNISA」の話題ですので、新興国 = 新興国株式のことです。

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経済成長すれば株価は上がる?

一般に、「経済成長すれば株価は上がる」と考えられており、筆者も今日まで漠然とそうだと思っていました

が、現実は経済成長と株価の上昇は必ずしも一致しません

経済成長率6%台の中国は日本よりもパフォーマンスは低い?

以下は、高い経済成長率を誇る中国の香港ハンセン指数(青)と、低成長である日本の日経平均株価(赤)、TOPIX(緑)の過去10年の成績を比較したものです。

また、以下は上海総合(青)と日経平均株価(赤)、TOPIX(緑)を比較したものです。

ご覧のように、過去10年間の中国市場のパフォーマンスは日本市場よりも低く、特に上海総合は2008年のリーマンショック前の水準よりも低い状態が続いています。

バブルに沸いた2015年は、株で失敗した中国人の画像がたくさん出回りましたが、あのときの水準でさえ、リーマンショック前の株価をようやく超える程度だったのです。

「経済が成長すれば株価が上がる」は間違い

中国はすでに株を買われすぎている!?

中国のパフォーマンスが奮わない理由は、「中国は今後、経済成長して株価が上がる」ではなく、「「今後、経済成長して株価が上がる」と考える投資家に、既に多くの株が買われている」ためです。

書籍「株式投資の未来」では以下のように指摘されています。

中国は、1990年代の世界経済の原動力ではあったが、株価が過大評価されすぎ、後に急落して、投資家の期待を手痛く裏切った
出典:株式投資の未来 永続する会社が本当の利益をもたらす [ ジェレミー・J.シーゲル ]

成長率と株価は相関しない

「株式投資の未来」では、成長率が必ずしも投資家の利益に繋がらない事例として、1950~2000年の「IBM」と「スタンダード・オイル(現・エクソンモービル)」を挙げています。

過去50年間、成長率が高かったIBMに対し、投資家がより利益を得た株式はスタンダード・オイルだったのです。

  • 1株あたりの利益(EPS)の伸び率:IBM > スタンダード・オイル
  • 投資家が得たリターン:IBM < スタンダード・オイル

成長率と投資家の儲けが相関しなかった理由は、IBMは中国同様に期待されすぎたため、株価も常に高かったのです。

一方、株価の低いスタンダード・オイルから配当金を受け取った投資家は、その配当金で何度も株を買い増したため、結果IBMから得たリターンを上回った、と紹介されています。

一般通念にしたがえば、なるべく成長率の高い国に投資するのが正解と思える。だがこの通念は、なるべく成長率が高い企業に投資するのがまちがっているのとおなじ理由で、まちがっている。中国経済はだれがどうみても、どの国よりも急成長している。だが中国株のここまでのリターンは、目もあてられないほどひどい。株価が高過ぎるからだ。
出典:株式投資の未来 永続する会社が本当の利益をもたらす [ ジェレミー・J.シーゲル ]

もう1つの新興国。インドはどうか

もう1つの大きな新興国としてインドのムンバイSENSEX30(青)と日経平均株価(赤)、TOPIX(緑)の比較も紹介します。

インドもまた7%近い高い経済成長を実現しています。

インドは、中国と異なり、日本市場よりも高いパフォーマンスを発揮しています。

最近の野村證券のセミナーに行くと「インド!インド!」ってインド押しな話を聞くんですが、このトレンドを見てもその理由がわかる気がしますね。

新興国全体で見ると

以下はmyINDEXより引用した主要指数の過去20年(上)と過去10年(下)で、ピンクの「MSCI エマージング」が新興国全体の株価のパフォーマンスを示します。

この結果は、少なくとも最近10年間、新興国は先進国(MSCI コクサイ)のパフォーマンスに負けていることを示します。

  • 新興国は経済成長率が高いから株価が高くなる?
  • 新興国は人口増加率が高いから株価が高くなる?

このような概念は当てはまらないのです。

ここまでまとめると

  • 過去10年間の株価のパフォーマンスは、インド > 日本 > 中国
  • 成長市場のパフォーマンスが低い理由は、既に多くの投資家が将来を期待して株を買っているために、株価が高すぎるから
  • 経済成長率や人口増加率の高さは株価と結びつかない

「つみたてNISA」で新興国株式へ投資するか

「経済成長する or 人口増加するから投資する」は間違い

以下のような理由で、新興国に投資することは不要です。

  • 新興国は経済成長率が高いから株価が高くなる?→×
  • 新興国は人口増加率が高いから株価が高くなる?→×

これまで述べたとおり、高い経済成長率や人口増加率と株価と相関しません。

分散投資を考慮して新興国に投資するのはOK

「株式投資の未来」は、新興国株式への投資自体は否定しておらず、「成長の罠(経済成長率と株価は一致しないこと)」に注意しつつも、幅広い分散投資こそがカギになると述べています。

そのため、分散投資を考慮して新興国株式を買っても大丈夫です。

その場合、例えば、「つみたてNISA」に対応した「MSCI ACWI(オールカントリーワールドインデックス)」をベンチマークにする投資信託、

は、日本を除く先進国と新興国を、世界市場における株価時価総額シェアに応じて投資しており、「適度な」配分で中国やインドなどの新興国株式に投資できます。

また、

は日本を含む先進国と新興国を対象にします。

あなたが国内企業の株主優待や配当金に関心がなく、日本円の預金と「つみたてNISA」だけで資産形成を計るならば、こちらを使ったほうが便利です。

大きな値動きを避けたいなら、新興国は不要

あなたのアセットアロケーションに新興国を組み入れると、毎日の投資信託の値動きが大きくなるかもしれません

そのため、「リスクの低い運用をしたい」「あまり元本を割りたくない」と考えるなら新興国投資は不要です。

2018年時点での世界市場における株価時価総額シェアは約10%なので、言い換えれば日本と先進国に投資するだけでも、世界の時価総額の約90%に投資できることになります。

90%もカバーできていれば、「分散投資」はクリアできていると思います。

なお、このケースで選ぶ商品は

など、MSCI コクサイインデックスに連動する投資信託です。

バランスファンドを使う場合

「つみたてNISA」対応商品であるバランスファンドの多くは、一定の割合で新興国に投資しています

しかし、バランスファンドは債券にも投資することで商品のリスクを落としていますので、新興国への投資を気にする必要はないと考えます。

例外は「世界経済インデックスファンド」のように新興国比率の高い一部のバランスファンドぐらいです。

参考:新興国をポートフォリオに加えると損益はどう変わる?

2018年3月16日時点のmyINDEXのデータ(過去10年、過去20年)を使い、MSCI コクサイ(先進国のみ)とMSCI ACWI(先進国と新興国)のリスクリターンを比較しました。

また、このリスクリターンを使い、100万円投資した際に「もし1年間で歴史的な暴落を経験したら、いくら値下がりするか(見込み損失額)」を求めたものも紹介します。

MSCI コクサイ MSCI ACWI
リターン(10年) 7.2 6.7
リターン(20年) 5.5 5.5
リスク(10年) 20.8 21.0
リスク(20年) 19.1 19.3
見込み損失額(10年) 34万円 35万円
見込み損失額(20年) 33万円 33万円

ご覧のように、過去の実績に基づく限り、新興国をアセットアロケーションに加えてもリターンはさほど変わらないが、リスクは高くなる傾向がわかります。

リスクが高くなると、見込み損失額も大きくなるので、よりハイリスクハイリターンな運用になります。

上述の通り、大きな値動きを避けたいなら、新興国はアセットアロケーションから外したほうが安心です。

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まとめ

  • 「新興国は経済成長 and/or 人口増加で株価が上がる」は間違い。既に多くの投資家に買われており、高値のまま維持されている可能性がある
  • 分散投資先として新興国に投資するのはOK。その場合はMSCI ACWIをベンチマークにする投資信託を選ぼう。楽天・全世界株式インデックス・ファンドもOK
  • 大きな値動きを避けたいなら新興国への投資は不要。仮に投資先から外しても、全世界の株価時価総額の90%を占める先進国に投資できれば十分に分散しているのだから

最終的にはあなたの判断にて投資するかどうか、をご判断ください。

あなたがまったくの投資初心者なら、「新興国は別にいらないじゃない?」というのが、現時点での筆者の本音です。

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