つみたてNISAや他の投資を始めようとして、こんな悩みを持ったことってありませんか?
「できれば、相場の良い時に投資を始めたい」
「今の相場はちょっと不安だから様子を見たい」
たしかに、良い相場状況で始めたいという気持ちはわかります。
ですが、そもそもつみたてNISAでは投資を始める時の相場って将来の運用成績にあまり影響しないって知ってました?しかも、どちらかといえば、相場を見極めるよりも早く始めたほうが有利なんです。
この記事では、過去の投資信託の基準価額を利用して、始めるタイミングと将来の損益の関係を検証しました。その結果、
★この記事の概要
- 始める時期が早いほど利益が多い
- 始める時期よりも、運用末期の相場が資産に大きな影響を与えやすい
という結論に至ったので、その話を紹介します。
つみたてNISAは「思い立ったが吉日」で始めるのが一番ですよ!
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「投資の始め時」に悩む方は結構多い
筆者ツイッターでアンケートしたところ、約3割の方が投資を始めるタイミングで悩んだ・不安に思ったと回答しています。
あんけーーーっと!
例えば、つみたてNISAなど、初めて投資を始めた時に「投資の始め時」に悩みましたか??
今の相場は始め時なのか?もっと下がるまで待つべきか??みたいな
ちなみに私はあほなので何も気にせず買ったんですけど、タイミング的には下落相場の真っ只中でしたw
— みらいあせっと@東北投信🇨🇦🌴🇹🇭 (@instockexnet) February 25, 2020
★アンケート結果(記事執筆時点)
- 投資の始め時に悩んだ:31.9%
- 投資の始め時に悩まなかった:57%
- 結果を見る + 忘れた:11%
※投票数:821
よくある話が、株価が上昇しているタイミングでは「割高そうだから、下がるまで待ちたい」と考え、実際株価が下がると「今の相場は怖いから、落ち着くまで待ちたい」と、いつまでも始められないオチですよね。
こうやって待っていてもベストなタイミングは来ないわけですが、今回はベストなタイミングを待つのは良いのか悪いのかを調べてみたという話です。
積立開始時期が遅れるほど利益は減ってしまう
というわけで、結論から述べると積立開始時期が遅れるほど、将来獲得できる利益は減ります。
ここでは、2002年からつみたてNISAを使って「インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)」に積み立てていたものとして、ちょっとシミュレーションしてみました。
2002年につみたてNISAという制度は無いけど。
2002年はこんな相場だった
まず最初に2002年の相場はこんな感じ。
出典:日興アセットマネジメントのページを利用して筆者作成
2002年は1月に11,700円台で推移していたものの、3月から夏場にかけて株価が下がり、年末の基準価額は8,000円台でした。
もし、この時に積み立てを始めようとしていれば、「年初は株価が高いから時期ではない」と考え、株価が下落した後は「相場が下落した後だから様子を見たい」と考えたはずです。
もしも2002年からつみたてNISAを始めていたら?
というわけで、今回はそんな「様子を見たい」状況を想定し、今回は2002年1月から1か月ずつずらして、毎月1万円を積み立てたときの運用成果を求めてみました。なお、遅らせた分だけ余ったお金は預金として、現在の資産に加えました。
出典:SBI証券の基準価額を利用して筆者作成
★2002年1月から1か月ずつ開始時期をずらして積み立てると
- 最も利益が多かったのは、2002年1月スタート
- 最も利益が少なかったのは、2002年12月スタート
この試算では、開始時期が1か月遅れるほど利益が減りました。利益が最も多かったのは2002年1月スタートのもので評価額が487万円でした。一方、最も利益が少なかったのは2002年12月にスタートしたもので、評価額は465万円でした。
これって、思ったよりも差が付いたと思いませんか?
この差がついた理由は、早く始めるほどより多くの「口数(投資信託の権利)」を保有しているためです。利益も多くなりました。
つみたてNISAは早く始めたほうが(理論上)儲かる
というわけで、つみたてNISAは早く始めたほうが(理論上)儲かります。なぜなら、早く積み立てを始めるほど、より多くの口数を購入できるため、株価が上がる恩恵をより受けやすくなるからです。
そもそも投資って、将来株価が上がって利益が出ることを期待してやるものですよね?違います?
なので、実は「待ってる時間」「迷ってる時間」って将来の値上がりを捨てている時間と言えなくもないんです。
過去の相場に基づく限りは、どんな下落相場も必ず反転し、高値を更新してきました。現在の相場は過去の歴史的な暴落よりも遥かに高いところにあることを忘れないでください。
「いつ始めるか」よりも「いつ終えるか」のほうが重要
ところで、つみたてNISAのような積立投資(ドル・コスト平均法)の弱点は、「リスクを将来に先送りしている」点にあります。もっとわかりやすく述べると、運用末期に向かって資産の価格変動は大きくなりやすい点がデメリットです。
以下は、先ほどの積み立てシミュレーションの2020年2月3週時点の評価額と、2020年2月4週時点の評価額を比較したものです。後者は世界的に相場が大きく下落した後の投資信託の価格です。
出典:SBI証券の基準価額を利用して筆者作成
先ほど、積立時期を1年間「悩んだ」結果は約20万円ちょっとの資産の差として表れました。
一方、2020年2月3週時点の評価額と2020年2月4週時点の評価額の差は平均25万円に達しており、1年間、つみたてNISAを始めようかどうしようか悩む以上の影響を与えているんです。
たった1日の株価の変動でこんなに資産が減るってびっくりしますよね?
つまり、つみたてNISAで利益を最大化するためには、始める時期で悩むよりも、運用末期のほうが重要です。始める時期の相場は将来の資産への影響が少ないんです。
「1日で25万円も減るの!」と思ったら、バランスファンドを選んで、リスクを抑えた運用を心がけてもよいと思います。
それでも、始めることを「不安に思う」あなたへ
「理論上は早く始めたほうが有利」「始める時期の相場はあまり影響しない」と述べられても、やっぱり心の踏ん切りがつかないことってあると思うんです。そんな時は、大々的に積み立てを始めるのではなく、ちいさくちいさく始めてみてはどうでしょうか?
★不安を感じるなら、ちいさく始めてみよう
- 積み立て額は1,000円でもいい。この金額は後から変えられます
- やっぱり怖いなと思ったら、途中で一時停止もできます
つみたてNISAはどんなひどい相場に巻き込まれても借金にはならない投資です。投資したすべてのお金が無くなることもありません。
今月1,000円積み立てて、そのうち100円が減っても人生は何も変わりません。でも、「積立投資を始めた」というあなたの経験が増えることを忘れないでください。あとはそれを継続していれば、将来は大きな資産になっているはずです。
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今回の検証条件
SBI証券でダウンロードできるインデックスファンド海外株式(ヘッジなし)の基準価額を利用し、2002年1月から12月まで1か月ずつ積み立ての開始時期をずらして、毎月15日に積み立てたものとしてシミュレーションしました。
イラスト1枚目のスクリーンショットは以下のページからの引用です。
インデックスファンド海外株式(ヘッジなし) | 日興アセットマネジメント
まとめ
- つみたてNISAなど、投資を始める時に「現在の相場は投資に適したタイミングなのか」と悩む人は多い
- 過去の投資信託を利用してシミュレーションする限りは、1日も早く積み立てを開始したほうがいい
- つみたてNISAのような投資では、始めるタイミングよりもやめる時点の相場の影響が大きい
1つ知っておいてほしい点は、たとえ専門家であっても、将来の相場を確実に当てることはできないということです。
2019年の時点で、「新しい病気が出て、市況は総悲観になる」と的中させた人はいたでしょうか?
言い換えると、これからどの時点で相場が反転し、つみたてNISAを始めるのに適した状況になるかも誰も当てられません。だから、そういう「ゴーサイン」を待っていても永遠に始められないのです。
だから。。。
「思い立ったが吉日」ですよ!