2018年3月19日より「eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)」の運用が始まりました。
この投資信託は「eMAXIS slim 先進国株式インデックス」に引き続き、低コスト投資信託の定番になるかもしれません。
この記事をご覧になることで、あなたは「eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)」の商品性と、そのライバル商品との違いを学ぶことができます。
加えて、有名な「eMAXIS slim 先進国株式インデックス」や「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」との違いも紹介します。
低コストのeMAXIS slimシリーズ。要チェックです!
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「eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)」の概要
eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)(協会コード:03316183)は、三菱UFJ国際投信が運用する、つみたてNISA対応の投資信託です。
eMAXIS slim 全世界株式(除く日本) | 三菱UFJ国際投信
eMAXIS slimシリーズは、もはや説明不要、つみたてNISAで資産形成の本命となる「eMAXIS slim 先進国株式インデックス」を内包する低コストインデックスファンドシリーズです。
日本を除く先進国・新興国の株式に投資
eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)はMSCI ACWI(オールカントリーワールドインデックス)をベンチマークとする投資信託です。
ACWI | MSCI(英語)
あなたがこの投資信託に投資すると、日本を除く先進国と新興国に投資できます。
以下はMSCI ACWIに該当する国を着色したものです(日本にも色がついていますが、日本は投資国から外れます)。
お金の流れは以下の通り(この図はeMAXIS 全世界株式(除く日本)より)
ライバルとなる投資信託は?
eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)の直接のライバルは、
- 野村つみたて外国株投信
- 三井住友DCつみたてNISA全海外株インデックスファンド
です。
いずれの投資信託もMSCI ACWIをベンチマークとしており、先進国と新興国に投資できるものです。
3つの投資信託の信託報酬を比較すると、ご覧のとおり。
筆者が投資する「三井住友DCつみたてNISA全海外株インデックスファンド」とは0.12%も低くなっているではありませんか。
投資信託名 | 信託報酬 |
eMAXIS slim 全世界株式(除く日本) | 0.15336% |
野村つみたて外国株投信 | 0.2052% |
三井住友DCつみたてNISA全海外株インデックスファンド | 0.27% |
信託報酬が0.1%異なる場合、毎月3万円を20年間積み立てると、約7万円超の運用成果押し上げを期待できます(計算上)。
この結果を大きいと考えるなら、「野村つみたて外国株投信」や「三井住友DCつみたてNISA全海外株インデックスファンド」から乗り換えるべきです。
その他、類似投信として
- eMAXIS slim 先進国株式インデックス:日本を除く先進国へ投資
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド:日本を含む先進国・新興国へ投資
などが挙げられます。
ただ、これらは投資先も異なるため、「どういう投資をするか」を考えた上で選ぶことになります。
- 日本を除く先進国へ投資したいなら、eMAXIS slim 先進国株式インデックス
- 日本を除く先進国・新興国へ投資したいなら、eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)
- 日本を含む先進国・新興国へ投資したいなら、楽天・全世界株式インデックス・ファンド
MSCI ACWIって、インデックス投資家によく知られている「MSCI コクサイインデックス」に比べると人気がありません。
商品性は素晴らしいのですが、証券会社の売れ筋ランキングに登場するほどに売れるかは怪しいです。
ので、「MSCI コクサイインデックス」に連動する投資信託(eMAXIS slim 先進国株式インデックスやニッセイ外国株式インデックスファンド)を買っているなら、eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)に乗り換える必要はないと考えます(もともと運用方針も異なるわけですので)。
ちなみに雪だるまとの比較は以下の記事に書きました。
他のeMAXIS slimシリーズとの違い
混乱しやすい他のeMAXIS slimシリーズとの違いを簡単に表にまとめます。
商品名 | 日本 | 先進国 | 新興国 |
---|---|---|---|
先進国株式インデックス | × | ○ | × |
国内株式インデックス | ○ | × | × |
新興国株式インデックス | × | × | ○ |
全世界株式(除く日本) | × | ○ | ○ |
全世界株式(3地域均等型) | ○ | ○ | ○ |
何度も繰り返しますが、全世界株式(除く日本)と先進国株式インデックスの違いは新興国への投資を含めるか否か、です。
ちなみにオール・カントリーとの比較は以下に書いてます。
毎月1万円投資すると20年後いくらに?
乱数シミュレーション(モンテカルロ法)にて、eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)に20年投資した際の成績を予想しました。
以下で述べる結果は、あなたの将来の運用成績を保証・約束するものではありません。
求め方:MSCI ACWI(円)の過去20年間の成績を使う
myINDEXが提供するMSCI ACWI(円)の過去20年間の成績から、eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)の信託報酬分を引いた値を利用します。
- リターン:5.34774%(5.5% – 0.15336%)
- リスク:19.3%
出典:MSCI オール・カントリー・ワールド (ACWI) 除く日本 (円) | myINDEX(2018年3月27日時点)
リスクリターンから20年後の成績を求める
上記のリスク・リターンを使って成績を求めると以下のようになります。
計算回数 | 1,000回 |
運用年数 | 20年 |
総投資金額 | 240万円 (1万円 × 12ヶ月 × 20年) |
最高評価額 | 2,179万円 (+1,939万円) |
最低評価額 | 80万円 (-160万円) |
平均評価額 | 435万円 (+195万円) |
元本割れ回数 | 193回 |
元本割れ確率 | 19.3% |
240万円の投資に対し、平均435万円(195万円の利益)になりました。
インプットしたリスクの値が大きいため、上手くいったとき(最高評価額)と失敗したとき(最低評価額)の差が大きめです。
なお、実際に投資した利回りはこの見積もりも低めになりやすいので、現実的には240万円が約300~400万円になれば成功だと考えます。
ここまでまとめると
- 過去のデータを使う限り、20年後の運用成績は240万円の投資に対して435万円(195万円の利益)に
- リスクが大きい商品なので、20年後の予想成績も大きくばらつきやすい
eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)に投資して失敗しないために
eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)に投資して「失敗した!!」と後悔しないために、上手くいかなかったときのケースも紹介します。
「投資はいつも儲かる」とは限らないので、ダメだったときのことを検討した上で商品を選ぶことが大切なのです。
eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)はどのような理由で値下がりするか
先進国・新興国の株価と為替が基準価額に大きく影響します。
- 株価の変動リスク:先進国と新興国の株価が下がると、基準価額も下がります
- 為替リスク:円高になると基準価額も下がります
特に新興国の株価・為替は変動しやすいので注意が必要です。
eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)はかなりハイリスクハイリターンな商品に属するとお考えください。
1年間で生じる「見込み最大損失額」はいくらか
myINDEXのリスクとリターンを用いて、投資した際に生じうる「見込み最大損失額」を算出しました。
仮に1年間で「酷い下落相場」を経験した際、投資額のいくらを失うかを求めたもので、過去のデータに基づく算出ですので、目安としてご覧ください。
リターン(%) | 6.4 |
リスク(%) | 16.0 |
見込み最大損失額 (投資額の%) |
33.1 |
この結果は、1年間で投資額の33.1%を失う可能性を示します(100万円投資すれば、1年後に66.9万円になる計算)。
実際の相場では、リーマンショックのあった2008年は1年間で43%の値下がりを経験しました。
株式に投資する商品ですから、どうしても値動きが大きめですよね。
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まとめ
- 2018年3月19日から運用が始まるeMAXIS slim 全世界株式(除く日本)は、先進国と新興国に投資する「MSCI ACWI」に連動
- 直接のライバルは「野村つみたて外国株投信」や「三井住友DCつみたてNISA全海外株インデックスファンド」。両ファンドに比べて低い信託報酬
- eMAXIS slim 先進国株式インデックスや楽天・全世界株式インデックス・ファンドなどは投資先が異なるため、運用方針も考えて選ぼう
・・・買おうかな笑