つみたてNISA対象ファンドの1つである「三井住友・DC年金バランス70(株式重点型)」は、株式70%・債券30%で運用されるバランスファンドです。
eMAXIS slim 先進国株式インデックスや楽天・全世界株式インデックス・ファンドなどに比べるとリスクが低いものの、つみたてNISAで有名なバランスファンドの中では同等かややリスクの高い部類に属します。
以下では、DC年金バランス70(株式重点型)の特徴、これまでの運用実績、将来の予想成績と、1年間で被る可能性がある損失見込み額をそれぞれ紹介。
DC年金バランス30に比べると、やや扱いに難しい商品だと筆者は思います。
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三井住友・DC年金バランス70(株式重点型)とは
出典:http://www.smam-jp.com/fund/pdf/134709k.pdf
三井住友・DC年金バランス70(株式重点型)(協会コード:79314059)は、三井住友アセットマネジメントが運用する、つみたてNISAとiDeCoに対応したバランスファンドです。
三井住友・DC年金バランス70(株式重点型) | 三井住友アセットマネジメント
DC年金バランスは愛称を「マイパッケージ」と言い、アセットアロケーションの異なる3つのバランスファンドからなるシリーズを作っています。
- マイパッケージ30(DC年金バランス30(債券重点型))
- マイパッケージ50(DC年金バランス50(標準型))
- マイパッケージ70(DC年金バランス70(株式重点型))
DC年金バランス70はマイパッケージシリーズの中で最もハイリスクな投資信託で、つみたてNISA対象商品全体で見てもややリスク高めの部類に位置します。
信託報酬や純資産などの基本情報
情報は2018年8月16日現在。
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 実質コスト |
0.2592% – |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) |
無期限 (償還なし) |
基準価額 | 三井住友公式 モーニングスター |
純資産(ベビー) 純資産(マザー) |
132億円 – |
SBI証券ランキング つみたてNISA 設定件数 |
ランク外 |
日本株式比率の高い「つみたてNISA」対応ファンド
50%を日本株式へ投資
DC年金バランス70(株式重点型)の投資先は株式70%、債券30%の比率で、投資したお金の50%は国内株式で運用されます。
細かい資産配分(アセットアロケーション)の内訳は以下の通りです。
出典:http://www.smam-jp.com/fund/character/1215056_1552.html
- 国内株式:50%
- 外国株式:20%
- 国内債券:15%
- 外国債券:10%
- 短期金融資産:5%(短期金融資産は元本変動リスクの低い、1年以内の債券)
短期金融資産とは、短期金融市場で運用、調達される、1年以内に償還が来る資産のことを言います。これは、金融機関や法人などを対象とした、短期に資金を預けたり借りたりして融通する確定金利の金融商品であり、代表的なものとしてコールローンや譲渡性預金(CD)、コマーシャルペーパーなどがあります。
ホームカントリーバイアスの強い商品とも言える
DC年金バランス70(株式重点型)は資産配分比率からわかるように、投資先の半分以上が日本国内に向いている「ホームカントリー・バイアス」の強い商品です。
ホームカントリー・バイアスとは、投資家がさまざまな理由によって海外投資に慎重になり、自国市場/資産への投資が厚くなる傾向のことです。
資産配分を考える際、どの程度日本へ投資するかは悩むところです。
普段、私たちは現金や預金、保険などを保有しているため、現在投資をしていなくとも、国内で運用される金融資産は結構保有していたりするものです。
そのため、
- 現金や預金、円建ての保険を保有して
- つみたてNISAは「DC年金バランス70(株式重点型)」
といった運用を選択すると、あなたが持つ資産の大部分は日本国内に回ることとなります。
この場合、例えば円高・円安などの為替の値動きやインフレ等、世界から見た日本の通貨の価値の変動に弱くなりますから、他に海外に投資できる商品を選ぶなどの対策が必要です。
しかし、その場合には「DC年金バランス70(株式重点型) + もう1つ適当なファンド」という組み合わせになりますので、アセットアロケーションを考えるのがややこしくなります。
といった理由から、個人的には資産形成の中核をDC年金バランス70(株式重点型)に託すのは無しかなーって思います。
ライバル商品は「ダイワ・ライフ・バランス70」
DC年金バランス70(株式重点型)とよく似ている商品に「ダイワ・ライフ・バランス70」があります。
出典:http://www.daiwa-am.co.jp/funds/detail/detail_tokushoku.php?code=3715
商品名 | 国内債券 | 国内株式 | 海外債券 | 海外株式 | 短期金融資産 |
---|---|---|---|---|---|
DC年金バランス70 | 15% | 50% | 10% | 20% | 5% |
ダイワ・ライフ・バランス70 | 20% | 45% | 10% | 25% | 0% |
以下は両ファンドの信託報酬と純資産の比較です。
商品名 | 信託報酬 | 純資産 |
---|---|---|
DC年金バランス70 | 0.2592% | 133億円 |
ダイワ・ライフ・バランス70 | 0.2376% | 63億円 |
信託報酬だけ見れば、ダイワ・ライフ・バランス70のほうが微妙に運用上有利です。
とはいえ、ダイワ・ライフ・バランス70も国内比率の高いファンドなので、選択には悩みますね!
DC年金バランス70に設定来(2005年10月~)から毎月1万円積み立てていたら?
DC年金バランス70に2005年10月から2018年6月末の毎月15日に、毎月1万円ずつ積み立てを行っていると、2018年7月26日現在では+923,501円の利益が出ています。
積立回数 | 153回 |
積立金額 | 1,530,000円 (毎月10,000円 × 153回) |
時価 | 2,453,601円 |
評価損益 (時価 – 積立金額) |
+923,501円 |
年平均利回り | 6.9% |
2005年から2018年の間には、リーマンショックのほかにいくつかの下落相場も挟んでおり、毎月積み立てるドル・コスト平均法がうまく「はまった」結果だと思います。
検証:20年後の運用成績を算出
乱数シミュレーション(モンテカルロ法)を用いて、DC年金バランス70に今後20年間、毎月1万円ずつ積み立てた場合の予想成績を紹介します。
以下で述べる計算結果は、あなたの将来の運用成績を保証・約束するものではありません。
DC年金バランス70のリスクとリターン
myINDEXの資産配分ツールを利用し、DC年金バランス70と同じアセットアロケーションを作った際のリスクとリターンを計算します。
このリスクとリターンは過去20年の平均値で、2018年7月26日現在のものです。
- リターン:3.7%
- リスク:12.2%
今回はDC年金バランス30の信託報酬(0.2592%)を引き、
- リターン:3.4408%(3.7% – 0.2592%)
- リスク:12.2%
にて計算します。
- リターン:年平均利回りのこと
- リスク:リターンの標準偏差(1σ)のこと。リスクが大きいほど、リターンの触れ幅も大きくなります
※詳しくは「投資信託におけるリスクとリターンとは何を示すのか」を
過去20年間の平均リターンは3.7%と、上述の2005年10月からの成績(年平均利回り6.9%)に比べると低めです。
ただ、本来の運用成績は3.7%のほうが近いようにも思います。
計算結果:20年後の推定成績
計算回数 | 10,000回 |
運用年数 | 20年 |
総投資金額 | 240万円 (1万円 × 12ヶ月 × 20年) |
最高評価額 | 1,234万円 (+994万円) |
最低評価額 | 92万円 (-148万円) |
平均評価額 | 350万円 (+110万円) |
元本割れ回数 | 1,767回 |
元本割れ確率 | 17.8% |
仮に240万円積み立てて、20年後に350万円になった場合、
- 通常の積立投信なら、110万円の20.315%である約22万円を納税
- つみたてNISAなら、利益は全てあなたのもの!
というわけですね。
DC年金バランス70の「見込み最大損失額」
myINDEXのリスクとリターンから、DC年金バランス70に投資した時に生じうる「見込み最大損失額」を算出しました。
将来、「リーマンショック級の下落」を経験した際に、1年間で投資額のいくらを失うかを求めたものです。
過去のデータに基づく算出ですので、目安としてご覧ください。
リターン(%) | 3.4408 |
リスク(%) | 12.2 |
見込み最大損失額 (投資額の%) |
21 |
DC年金バランス70は、計算上1年間で投資額の21%下落する可能性があります。
仮に100万円積立後に酷い相場を経験すると、1年後に79万円になる計算です。
参考までに、myINDEXのデータによると、このアセットアロケーションの2008年の下落幅は年間で-33%と、1年間で投資したお金の3分の1が失われた計算です。
バランスファンドとはいえ、株式の比率が高いために、金融危機時に抱える損失見込み額はやや大きめになっています。
DC年金バランス70への投資はオススメか
先に述べたとおり、DC年金バランス70は投資したお金の半分以上が日本国内で運用される点で、扱いに悩む商品です。
国内外にどういった割合で割り振るかは個人の好みにもよるので、絶対ダメとは言えませんが・・・。
例えば、リスクを抑えて運用したいなら、ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)などを個人的には推奨したいです。
DC年金バランス70はどこで購入できる?
主にネット証券で購入可能
DC年金バランス70は主にネット証券で購入できます。
販売会社リスト | DC年金バランス70 | 三井住友アセットマネジメント
SBI証券や楽天証券で購入すると、購入残高に応じてポイントが付与されますので、他の金融機関よりもお得に購入できます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)で購入するなら?
DC年金バランス70は三井住友銀行のiDeCoを利用すると選択できます。
バランス型の分散投資 ~おまかせの商品ではじめてみる~ | 三井住友銀行
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まとめ
- 「DC年金バランス70」は、国内資産(特に国内株式)への資産配分が多いバランスファンド
- ライバル商品は、ほぼ類似のアセットアロケーションで運用される「ダイワ・ライフ・バランス70」。DC年金バランス70よりやや信託報酬低め
- 円安などの為替変動に対する耐性に劣る可能性があるので、海外に投資する商品にも目を向けたい
つみたてNISAでは、DC年金バランス70以外にも様々なバランスファンドを選択可能です。
その特徴や、比較的オススメしやすい商品については以下の記事でまとめていますので、あわせてご覧ください。