2020年10月末時点でつみたてNISA(積立NISA)対象の全世界株式インデックスファンドのうち、おすすめできる銘柄を解説します。
全世界株式に投資するものは、日本を含むもの、日本を除くもの、そして3地域に均等で投資するもの、GDP比で配分するものと種類が多いので、結構悩むところかもしれません。加えてベンチマークも2種類あるため、同じ全世界株式でも運用成績が異なる商品があります。
最初に全世界株式のおすすめファンドを挙げると以下の通りです。今回はランキングではなく、それぞれの種類でもっともベストな物を記載しました
★全世界株式のおすすめ
- 日本を含める場合:eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 日本を除く場合:eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)
- 均等に投資する場合:eMAXIS slim 全世界株式(3地域均等型)
※GDP比のものは省略します
おすすめの根拠として、オール・カントリーの設定された2018年11月から2020年10月までのリターンを測定し、信託報酬等の比較からパフォーマンスの良かったものを割り出しました。
では、一緒にみていきましょう!
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おすすめ商品
改めて全世界株式ファンドのおすすめ商品を挙げると以下の通りです。
★全世界株式ファンドのおすすめ
- 日本を含める場合:eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 日本を除く場合:eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)
- 均等に投資する場合:eMAXIS slim 全世界株式(3地域均等型)
eMAXIS slimシリーズばかりになっている理由は、信託報酬が低いため他のファンドよりもパフォーマンスが良くなりやすいためです。加えて、同シリーズはベンチマークのトラッキングも他のファンドよりうまい可能性があります(つまり、インデックスファンドとしての性能が高いです)。
一方、他のファンドは信託報酬面で劣ったり、ベンチマークの追従に少し難があったりするケースが見られます。そのため、消去法的にeMAXIS slimシリーズを選ぶことになるという見方もできます。
過去のリターンからおすすめの根拠を解説
では、上記のおすすめ順とした根拠を、2018年11月から2020年10月までの信託報酬やパフォーマンスから解説していきます。今回は以下のファンドをすべてひとまとめで紹介します。
★つみたてNISA対象の全世界株式ファンド
- SSGA全世界株式インデックス・ファンド
- 野村つみたて外国株投信
- 三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド
- eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)
- eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS 全世界株式インデックス
- SBI・全世界株式インデックス・ファンド
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
- ニッセイ・インデックスパッケージ(内外・株式)
- eMAXIS slim 全世界株式(3地域均等型)
※2018年11月以降に追加された商品は比較から除外しました
まず、全世界株式を1年間保有した時の利回り(中央値)と毎日の株価(基準価額)の変動の大きさ(標準偏差)について見てみます。
上記のファンドを比較すると、主に4つのグループに分かれます。
★全世界株式はベンチマークや配分の違いで運用成績も変わる
- MSCI ACWI(日本を含む)
- MSCI ACWI(日本を除く)
- FTSE Global All Cap Index
- 3地域均等型タイプ
中央値ベースで成績が良かったのはMSCI ACWIをベンチマークとするもの(例えば、eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)やeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー))でした。
一方、FTSE Global All Cap IndexをベンチマークとするSBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま全世界株式)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドの成績は劣りました。1つの原因として、FTSE Global All Cap Indexに小型株が含まれており、特にコロナショック前後でのパフォーマンス低迷も影響しています(ほかにもファンドの運用良し悪しなんかも効いています)。
3地域均等タイプはこの期間中でもっともパフォーマンスが低めでした。これは、国内株と先進国株と新興国株の保有比率が大きく異なるためです。そのため、将来の運用成績も他の全世界株式ファンドに比べて大きく変わるはずです。
では、次に保有期間リターンと信託報酬の関係について見ていきます。グラフ上、左上にあるものほど低コストで成績が良く、右下に近づくほど高コストで成績が悪いものです。
上述の通りに、eMAXIS slim 全世界株式(除く日本)やeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)の成績がもっとも高めでした。また3地域均等タイプにおいても、eMAXIS slim 全世界株式(3地域均等型)の成績がニッセイ・インデックスパッケージ(内外・株式)以上の成績になっています。
そのため、冒頭で述べたように、eMAXIS slimシリーズをオススメとして挙げることにしました。ここでもやはり、信託報酬が低いほど基本的には成績が良いとの関係が証明されてしまいましたね。
問題のありそうな商品
SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま全世界株式)は、楽天・全世界株式インデックス・ファンドより0.1%も低コストながら、期間中の運用成績は明確に楽天・全世界株式インデックス・ファンドよりも悪くなりました。
このファンドは3つのETFをマザーファンドとして運用する特徴を持っており、以前からトラッキングエラーが大きい可能性を指摘されています。
SBI全世界株式は、3本のETFをある比率で混ぜることで、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動するとしているわけですが、僕はこれには無理があると思っています。ベンチマークはもう少し厳格なものではないでしょうか。
もう1つ、三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドは他のファンドに比べてやや標準偏差が大きくなっています。これは新興国株式部分の運用が影響しています。
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まとめ
- 全世界株式ファンドの運用成績を比較。日本を加えるかどうかやベンチマークの違い等に応じて運用成績が変わってしまう点に注意
- 大局的には低信託報酬な商品ほど高いパフォーマンスを出している傾向になった
- SBI・全世界株式インデックス・ファンドや三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドは他のファンドに比べてトラッキングエラーがみられる可能性
というわけで、低信託報酬な商品ほど高パフォーマンスでした。このカテゴリーにおいても、迷ったらeMAXIS slimシリーズを選んでおけば無難だと感じます。
ちなみに楽天・全世界株式インデックス・ファンドとeMAXIS slim全世界株式(オール・カントリー)については以下の記事でも比較しました。
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